コンシェルジュノート

2018/09/11

xone HOSPITALITY REPORT(2018-1)

2018年ホテル旅館における事業再生・承継の今

     ~収益性が低いホテル旅館におけるイグジットの方策~

代表取締役社長 宇野俊郎

 

ホテル旅館の事業再生・承継に12年間取り組んできた弊社だからこそ分かる、そして数多くの支援機関とのネットワーク及び地域金融機関との緊密な関係性があるからこそ分かる、事業再生・承継の状況と今後の動向予想について詳報します。

 

1.地域金融機関における事業再生・承継の今

11.事業再生は一巡

 様々な金融機関の審査部ないし経営サポート部の行員の方々とお話していると、「当行では既に事業再生は一巡して、もう大きい案件は無いですね」という声を数多く聞く。確かに、事業再生案件自体は減少していると考えられる。それは、表1の平成293月期における「金融再生法開示債権の増減要因」を見ても明らかである。

不良債権(金融再生法開示債権)は東日本大震災発生後に増えているが、平成263月期以降は減少が続いている。特に、オフバランス化(清算型処理、再建型処理、債権流動化など)が継続的に行われていることから危険債権については平成243月期を除き、一貫して減少傾向にある。

 オフバランス化の方法であるが、恐らく暫定計画の未達や収益改善の見込みのない企業の債権について、法的に清算処理(中には、第二会社方式により旧会社を特別清算している案件も含まれていると思われる)および債権譲渡などにより処分している案件が多いと推察される。すなわち、本来の抜本再生による再建型処理を行っている案件数は減少しているのではないだろうか。これが、「事業再生は一巡した」という発言につながっている。