コンシェルジュノート

2010/08/30 コンサルタントコラム

所有と経営、運営の分離は、再生と承継に効果あり④

経営会社は、ホテル・旅館の土地や建物を借り受け、キャッシュフローを最大限生み出すような経営を実現する。ホテル売上げを管理し、食材費や人件費などの運転資金を負担する。従業員の雇用は経営会社がその責任を負う。つまり、雇用リスクを負担する。ホテル売上から各部門の運営費用および管理部門や営業部門などの非配賦費用を引いたGOPがオペレーションで得られる利益となる。所有会社に支払う賃料は、この売上とGOPの何%かを組み合わせた計算式で積算することが多い。現在は、所有会社および経営会社ともにインセンティブの働きにくい固定賃料よりも、このような変動賃料が主な流れではないだろうか。

さて、このGOPから運営会社への運営委託料やFF&Eにかかる更新費用の積立金などを控除した利益がNOI(キャッシュフロー)であり、NCF(フリーキャッシュフロー)となる。このNCFが経営会社が自由に使えるキャッシュだと言うことである。

最後に、運営会社は上記からお分かりのように、経営会社が支払う運営委託料(運営会社から見れば運営受託料)が売上となり、支配人や部門長など幹部の人件費および本社管理費などが経費となる。この運営委託料から諸経費を引いた利益がNOI(キャッシュフロー)であり、NCF(フリーキャッシュフロー)となるのである。

繰り返しになるが、所有・経営・運営会社それぞれに相反利益が存在することがそれぞれの会社の規律をもたらし、それぞれの専門性を活かした高度なホテル・旅館経営が可能になると言うところが、最大のポイントなのである。

所有会社は賃料を上げたい、経営会社は賃料を下げたい、そしてCapExといった資本的支出をして欲しい、運営委託料を下げたい、運営会社は運営委託料を上げたい。このようにそれぞれの思惑が異なることが規律を生み出すのである。

 つづく