事業承継に向けた取り組み:第2回 執筆:昌子 弘明
前回のコラムでは、中小企業経営者の高齢化が進み円滑な事業承継が喫緊な課題となっていることや、廃業企業の半数が経常黒字であること、M&Aなど事業承継の方法が多様化している現状をお話しました。今回は、事業承継の方法について、もう少し詳しく紹介します。
事業承継とは・・・、簡単に言えば経営者が変わっても事業が継続することを言います。
所有と経営という言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
株式会社を例に簡単に説明すると、所有とは株式(持ち分)を持っていること(会社を所有していること)を意味します。また、経営とは、対外的に物事を行う権限(代表権)を有する人が会社の意思決定をすることを意味します。承継の場面では前者を「株式承継」、後者を「経営承継」と言うこともあります。
同族会社(家族経営)で、現社長(父)から次期社長(ご子息)に会社を継ぐ場合の多くは、株式(所有権)も経営(代表権)も次期社長(ご子息)が承継します。・・・正確にはしていま「した」。前回のコラムで書いたように後継者不足が問題となり、他の選択肢が多くなっているのが現実です。ちなみに、株式も経営も親族が承継する方法は「同族経営(所有と経営の一致)」と言えます。
事業承継の方法はどのようなものがあるのでしょうか。
大体以下のように分かれます。
1)同族経営(株式は親族、経営も同親族)
2)社内人材(株式は旧社長もしくはその法定相続人、経営は従業員)
3)EBO(株式は社内人材、経営も同社内人材)
4)外部人材(株式は旧社長もしくはその法定相続人、経営は社外人材)
5)MBO(株式は社外人材、経営は社内人材)
6)M&A(株式は他の事業者、経営も同事業者)
7)IPO(株式は投資家等、経営は社内人材)
こんなにあるの?という感じです。ただし、中小企業は所有と経営が一致することが望ましいと思われます。理由はさまざまありますがここでは割愛します。
上記7つのうち所有と経営が一致しているのは1)同族経営、3)EBO、6)M&A
です。
今後中小企業が事業承継に迫られたときは、どの方法を選択することが良いのか?他の選択もあるのか?を判断しなければならないのです。
次回、続きをお話いたします。
次回以降も、「親族内の事業承継」「親族外の事業承継」の視点から円滑に事業承継するための取り組みや、それぞれのメリット・デメリットなどをお話しいたします。