コンシェルジュノート

2010/06/08 コンサルタントコラム

ホテル・旅館は消費者ニーズの多様化に応えなければならないのか③

消費者ニーズの多様化の要因を探ることが、ホテル・旅館業の経営者にとっては重要であることを前回お話しした。さて、消費者ニーズの多様化の要因とは何であろうか。

 まず、人間の行動モデルを単純化しよう。それを図で示すと下記のようになる。

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 つまり、人間は五感を通じて様々な情報を入手し、その情報に対して自分なりの感性や知性、思考様式が反応して行動するきっかけ(すなわち動機)を生む。そうして、行動に移るといったものである。例えば、次のように考えれば分かりやすいだろう。ある日、ネットでうまいラーメン屋のブログを読んでみて(目で見た情報)、ラーメン好きな自分はどうしてもそのラーメンが食べたくなった(動機)。そして、次の日会社を抜け出しそのラーメン屋まで行った(行動)。非常におおざっぱではあるが、概ね人間の行動にはこのようなプロセスがあると考えて良い。また、インプットである情報は、五感から得られるすべての情報であり、単なる見聞きする情報だけでないことに注意を要する。急ぎ足で道を歩いていると、何とも言えない良い匂いがしてきた。振り返るとはちまきを巻いたお兄ちゃんが鉄板でジュウジュウと焼きそばを焼いているではないか(嗅覚と視覚、聴覚からの情報)。それほどお腹が空いているわけではなかったのだが、あの熱々の焼きそばを頬張ったら美味しいに違いない(動機)。そして、思わず買ってしまった(行動)。このように五感すべてから情報は入ってくるのである。

 一般的に言われている消費者ニーズというのは、もう少し分かりやすく表現すると「○○をしたい、○○を欲しい」といったものである。そして、このような欲求や感情を引き起こすには「動機」が必要なのである。つまり、ニーズは動機がもたらすものであり、この動機は情報によってもたらされるのである。

 現在、世の中に情報が溢れていることは皆さん分かりきっていることと思う。交通網の発達により人間の行動範囲が広がった。また、ITやメディアにより経験していないことも、自分では知らなかったことも簡単に手に入るようになった。つまり、昔に比べると格段に情報量が増えたのである。その真偽やのほどや共感度合いはともかくとして、とにかく入ってくる情報は非常に増えた。だからこそ、それぞれの動機によって様々なニーズが生み出されているのである。インプットが増えたから当然にアウトプットが増えたのである。これが、消費者ニーズの多様化の本質である。