ホテル・旅館業界が他業種から得られるものとは1-④
3の駐機時間25分
これは、とりもなおさず客室メイク時間の短縮と24時間いつでもメイクできる体制を整備することになる。ホテル業界の常識としては、チェックアウト時間前後の9:00からチェックイン時間の15:00までに客室メイクすることになっている。確かに、大半のお客様はチェックアウトは9:00前後、チェックインは18:00前後というのはさほど変わらないだろう。しかし、中には深夜にチェックインしたり、早朝にチェックインしたりすることも考えられる。羽田空港の国際化に向けて特にこのエリアのホテルでは現実味がある。
客室メイクしやすいように客室そのものを設計したり、大浴場を設置してアウトバスにしてしまったり、余計なFF&Eを設置しないなどの工夫を重ねて出来るだけ清掃時間を短縮する。また、9:00~15:00に集中していた客室清掃担当者のシフトを24時間の交代制にする。こうすれば、24時間いつでもチェックインして、チェックアウトしたらすぐにメイクしてすぐに別のお客様に販売できる。
これまでの常識から外れた客室販売を行うことにより、新たな需要を開拓することが可能となるのである。
4の契約社員の活用
もともとホテル旅館業界は、アルバイト・パート社員比率が高い業界である。むしろアルバイト・パート社員をうまく活用できないと繁閑の差に対応しきれなかったり、固定費が高止まりして利益の出にくい体質になってしまう。この状況を更に推し進めることを考えてみると、アルバイト・パート社員に更に重要なポジションを任せて、より主体的に業務に取り組んでもらうことも一つとなる。働き方は人それぞれであり、常時8時間以上の勤務は望んでおらず、短時間労働で、かつ勤務日数もほどほどで良いという人も少なくない。シニアの活用もそうであるし、介護などからそうせざるを得ない人もいる。このような様々な勤務形態を用意できるのはホテル旅館業界ならでもある。
一般的にアルバイト・パート社員は会社の方向性を十分には理解しきれず、ホスピタリティも低く、サービスレベルも低いと言った常識を疑ってみることである。もっと、重要なポジションを与えることで、さらに前向きに働いてくれる人もいるはずである。これからの労働環境を考えると、ウィンウィンの関係でホテル旅館とアルバイト・パート社員がつきあっていくことも可能ではないだろうか。
他業種から学ぶことは多い。ホテル旅館業界の常識を疑ってみることが出来る。そして、そこから新しいサービスや効率的なオペレーションなどに気付かされる。今後も、様々な業種から学んでいきたい。
以上