コンシェルジュノート

2011/06/21 コンサルタントコラム

旅行ニーズを捉えるには、トレンドの方向感をつかめ(1)

 東日本大震災が、消費動向に与えた影響は大きい。自然界ではあり得ない「非連続」が起こっている可能性さえある。

 日経ビジネスによると、震災後の消費に関する意識の変化は、「備えが甘かった」「社会と繋がっていた」への気づきが顕著に増加しているそうである。また、従来の「モノ/機能」に加えて、消費の「理由・意味合い」を重視するようになったとのことである。これらが、日経ビジネスとボストンコンサルティンググループの共同調査の結果であり、全国約5千名の消費者へのアンケートから導き出された結果である。

 

 さて、流行には期間の長い大きな趨勢を表す「トレンド」と、期間が短い「ブーム」、更に短く浮かんではすぐに消えてしまう「ファッド」の3種類があると言われている。旅行は嗜好や感覚のモノなので、実はファッションに近い部分がある。つまり、旅行ニーズを捉えるためには、「トレンド」や「ブーム」「ファッド」と切り離せないのである。

 しかしながら、気をつけて頂きたいのは「ブーム」や「ファッド」はやがて消えてしまうモノであることである。一時流行った「創作居酒屋」「デザイナーズホテル」などは「ブーム」や「ファッド」に近いであろうし、「露天風呂付き客室」はトレンドに近いのかも知れない。我々が捉えないといけないのは、トレンドよりも長いトレンドの方向感である。つまり、高度経済成長時代には「何となくクリスタル」にもあるようにどこか冷めていて、クールで、都会的な振る舞いがトレンドの方向感であった。しかし、今は、人と人が結び合い、静かではあるものの何か社会的なモノを生み出す振る舞いがトレンドの方向感ではなかろうか。

 次回は、大震災前後の消費意識の変化、トレンドの方向感に与えた影響と旅行市場に与えるであろう影響を考えてみたい。

 

つづく