再生の失敗事例「意識の変わらない経営者」
《コンシェルジュコラム》ホテル旅館の再生を妨げるもの(1)
弊社ではこれまで100社ほどのホテル旅館の再生に携わってきた。そのほとんどは順調
に再生計画を履行しており、金融機関からの信頼も回復している。しかしながら、一部の
ホテル旅館についてはうまく再生できていない事例があるのも事実である。このうまくい
かない事例を、これから3回にわたって紹介していきたい。
ある地方の小規模なホテルチェーン企業である。もともと定期的に借入を行い客室と施
設に手を入れてきたハード重視のホテルである。このホテルの経営者は、現在厳しい状況
に陥ったのはリーマンショックなど外部環境の変化が大きいと考えており、自身の経営判
断のミスはないと考えていた。しかしながら、我々のデューデリジェンスから導き出され
たのは、ハードさえ良ければお客様が来ると信じて疑わない社長の考えそのものが問題で
あった。
この点について社長に何度となく説明し、ハードはいいのでそれに見合ったソフト面の
強化が継続的な売上獲得、リピータ獲得には必要であることを説いてきた。しかしながら、
計画策定までのプロジェクト期間中、社長の表面的な言葉は変わったものの意識が変わる
ことはなかった。
案の定数年後、利益が計画を大幅に下回り再度計画を修正することになってしまったの
である。
◇ 次回予告 ——————————————————————-
第2回は「再生の失敗事例 会社と債権者の信頼関係が低い」をお届けします。
お楽しみに!