人材の定着率改善に必要なポイント
■ホスピタリティ産業も人材確保が困難に
ホテル・旅館などのホスピタリティ産業は、サービス業というように人を介した
サービスに付加価値をもたす産業です。そのため、ホスピタリティ産業において
は、人が最も重要な要素であることはいうまでもありません。近年人手不足が騒
がれていますが、ホスピタリティ産業は(特に地方圏)の人材不足しています。
人材採用活動を行っても、なかなか想定通りに人員確保できない状況です。
■人材採用の改善と人材の定着
これらの対策として、人材採用の改善を行うことももちろん必要ですが、「いか
に辞める人を減らすか(離職率の低下)」ということも同時並行で検討する必要
があります。人が足りなくなったら採用をして補充すればよいという時代から、
いかに辞めさせないで長く続けてもらうかが重要な時代になっています。人材採
用・定着率が企業の競争力に直結します。
人材採用の改善については、以前のコラムにて記載しましたので、今回は、どう
すれば中小企業の従業員が、やめないようになるかの手順をまとめたいと思いま
す。
■従業員が辞める理由
まずは、自社の従業員がなぜやめているのかという実態を把握しましょう。
退職した理由と時期を一覧表にします。①家庭の事情(家族の転勤、看病、転勤
など)と②本人の都合(給料が低い、別な仕事をしたい)、③理由不明などに分
類します。定着率が低い会社は、③が多く、理由を把握していない場合が多いで
す。特に、定着率が低い企業ほど、「あいつはうちには向いていなかったんだ」
と他責になりがちです。実際のところ、なぜやめているのかを把握しましょう。
■辞める兆候を察知する
退職する際の多くは突発的には発生しません。家庭の事情で、急遽退職というこ
ともなくはありませんが、たとえ家庭の事情であっても、今日明日に突然、退職
をきめるということはあまりありません。そして、辞める前には必ずその兆候が
表れます。これらをキャッチする仕組みを作る必要があります。定着率が高い会
社は、定期的な面談を実施することのような形式ばったことはもちろん、日々、
勤務状況などについて声をかけるなど、日常の接点を多く持っています。
■不満を逃がす
前述の通り、突発的に退職を決意することは実はあまり多くありません。小さな
接点を数多く設けて話を聞くことで、様々な不満・不安が軽減されます。部門長
が定期的に声を聞くこと、その声に対して、改善の意思を見せることが効果的で
す。不満がまったくなく「居心地がいい職場」と言われたことはありますでしょ
うか。全員の不満をまったく取り除くことは難しいですが、不満を逃し、軽減さ
せることは可能です。
■やる気を上げる
従業員の定着率をあげるためには、企業としてのビジョンを明確にし、より企業
に対しての理解度が高い人物を採用しましょうという考え方があります。これは、
ある意味では正論ではあるのですが、離職率の高い中小企業の経営者の多くは勘
違いしている点があります。ビジョンくを発信し理解してもらうより、従業員にと
って、そのビジョンが有益かどうかを示すことが重要です。
そのビジョン実現のために、従業員が行う行動が、結果、お客様に感謝されると
いうことです。「やりがい」といいますが、仕事のやる気をつくってあげること
が重要です。
■まとめ
従業員が100人いれば、100通りの考え方があります。まずは、様々な不満を取り
除き(もしくは逃がし)、そのうえで、ひとりひとりにやる気を出してもらう仕
組みを組織として取り込んでいくことが定着率UPのためには必要不可欠です。