コンシェルジュノート

2017/03/07 コンサルタントコラム

ホテル・旅館の衛生管理の重要性:第1回

なぜ衛生管理が必要なのか?
日々お客様が来館し、夕食、朝食や喫茶利用などホテル・旅館は毎日のように食品を提供しています。このように毎日お客様に提供している食事に毒物(食中毒菌)や異物など危険なものが混入しているとご利用されるお客様の人体に食中毒などの影響を及ぼします。時に食品事故はお客様の生命に関わることもあり、ホテル・旅館の調理人、サービススタッフや経営者を含む全スタッフが衛生管理を理解して、それを実践することで食品における事故を防ぐことができます。
以下は、厚生労働省が公表している、食中毒の発生状況となります。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html
このように、皆さんが良くご存じのノロウィルスの他にも、1年を通して食中毒の危険性にさらされております。
今回は、その食中毒のリスク回避のための基本的な取組について述べます。
1.個人衛生と手洗いについて
2.食品の解凍について
3.調理器具、食器の洗浄について
4.食品の受け入れについて
5.厨房管理・メンテナンスについて
1.個人衛生と手洗いについて
a) 手洗い
人の手は食品や食材に細菌をうつす媒体となります。手や爪には有毒性のバクテリアが多数付着しており、手と爪を丁寧に洗うことは、食品や食材が触れる表面が様々な汚れから危険な病原菌による汚染を防ぐために重要となります。
【調理・サービススタッフは以下の行為の後には必ず手洗いを行いましょう】
・トイレ使用
・生の食材の取扱い
・食品、食材の貯蔵・保管時
・ゴミや薬品の取扱い後、清掃、設備修繕、包丁研
・食肉(魚)、寿司など高いリスクエリアを離れる時
・休憩後
b) 手洗い場所
手洗い専用のシンク(流し台)は調理場の入口に設置する。これは、調理場の外れ(違う場所)に設置するとスタッフは手を洗うことをしなかったり、手洗いシンク以外で手洗いをする可能性があるからである。
科学的、物理的、微生物学的な二次感染を防ぐために手洗いシンク(流し台)の近くには食品を置かない。または、食品近くに手洗いシンクを設置しない。手洗いは病原菌による食中毒と二次感染のリスクを軽減する重要な方法であり、手洗い場所が不適切な場合には有害なバクテリアのレベルを認められるレベルまで下げることが困難となり、手から準備中の食品への二次感染につながる可能性がある。
【手洗い場所の注意として】
・食品を準備する全てのエリアに設置する
・各エリアの高リスクエリアには追加して設置
【手洗いシンクには以下の対応】
・温水が出ること
・自動機械装置
・シンク近くに手洗い見本の掲示
・食品用殺菌ハンドソープ
・爪ブラシ
・ペーパータオルとゴミ箱
c) 個人の身だしなみ
調理スタッフなど食品・食材を扱うものは、個人衛生の基本方針を怠ったために食中毒を起こす有機体やその他汚染物が食品・料理に混入されないように注意しなければならない。このことより、スタッフの制服は清潔な物を着用することとする。また、身だしなみも清潔にして、髪は後ろにまとめるなどして料理、食品を扱う者からの二次感染する可能性を軽減させることが重要である。
【身だしなみの習慣として以下も守ること】
・アクセラリー類の着用禁止
・爪は短い切って洗いやすいようにする。
・調理スタッフは帽子着用する。長い髪のスタッフは、後ろにまとめて着用するなどして適切に着用する。
・長い髪のスタッフも後ろに束ねる
・全スタッフは清潔な制服とエプロンを着用
・エプロンでの手拭きは禁止する
d) 使い捨て手袋の活用
汚れた手は食品を汚染する大きなリスクを持っており、このリスクを最小限にするために、料理、食品、食材を扱うスタッフは使い捨て手袋を使用する必要がある。しかし、清潔で汚れた表面を触っていない場合の使い捨て手袋は清潔であるが、使用状況によって手袋表面に菌が付着して二次感染のリスクが高くなるため、頻繁に交換しなければならない。使い捨て手袋を使用する場合にも手洗いは必要であり、着用前には必ず手洗いを行うこと。また、使い捨て手袋は、後で加熱調理される生の食材の扱いに使用してはならない。
【使い捨て手袋の使い方】
・寿司、刺身などすぐに食べられる食品を扱うとき
・手袋着用前には必ず手洗いを実行する
・30分ごとに手袋の交換
・二次感染防止から、各工程ごとの手袋交換
・手袋が破れるなどした場合にはすぐに交換する
・手に擦り傷などある場合には必ず手袋を着用する