ホテル・旅館の衛生管理の重要性:第2回 執筆:小尾 直樹
第2回のテーマは、「食品の解凍」についてです。
今回のテーマは食品・食材保管には欠かせない冷凍ですが、調理使用する際の解凍方法が大きなリスクとなりうるというお話です。皆さんは食品・食材を冷凍庫から出して使用するまでの「解凍」はどのように行っておりますか。常温(室温)で解凍すると細菌が繁殖しやすい温度となるため非常に危険です。最適な解凍方法は以下の3つがあり、それぞれ説明いたします。
まず使用する冷凍食品・食材は完全に解凍させなければいけません。これは、不完全な解凍により食品の中に冷たい箇所が残り、その部分が完全に加熱されないことにより殺菌されない場合があるからです。
1)冷蔵庫による食品の解凍
一般的で安全な解凍方法で、特に肉類、魚類の関して推奨される方法です。解凍時の注意点としては、冷蔵庫内温度が5℃以下であること、解凍中の食材に解凍開始日をラベルすること、解凍している食品より滴が他の食品に落ちると二次感染が発生するので注意が必要であることがあげられます。食品によっては、特に大きなものは完全に解凍するのに長時間かかる場合があるので注意が必要です。
2)流水による食品の解凍
短時間での解凍が可能ですが、一般的には流水で解凍した食品は、風味や質が低下します。二次感染を防止するためには、流水解凍するシンクは解凍専用として使用します。また、解凍後にはシンクを徹底的に洗浄、消毒します。できれば流水による解凍に頼らずに、時間はかかりますが、冷蔵庫で正しく解凍ができるように計画的に作業するようにします。
3)調理プロセスの一環として
電子レンジを使用した解凍は、すぐに調理を行う場合には適しています。しかし、解凍した食品・食材には細菌が繁殖しやすい温度となっているため、直接素手で触らないようにします。また、直接調理する際には食材の厚さが約5cm以下でないと全ての部分が完全に解凍されず危険であるため、中心温度計などを用いて中心温度管理をします。