第五十六話 「浜通りと会津地方」
「道元さんがバス停を降りてから、こちらにおいでになるまでの道路は、結構立派じゃありませんでしたか。」 会津の山奥の人通りも少ない場所に、このような立派な遊歩道付の道路があることに、少々違和感を覚えたことを道元は思い出し […]
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「道元さんがバス停を降りてから、こちらにおいでになるまでの道路は、結構立派じゃありませんでしたか。」 会津の山奥の人通りも少ない場所に、このような立派な遊歩道付の道路があることに、少々違和感を覚えたことを道元は思い出し […]
今回ばかりは、道元もどのように再建を進めるべきか、ぼんやりと思い悩んでいた。 まだ旅館にたどり着く前であったが、照り返す太陽の光が眩しすぎた。これから自分に降りかかるであろう困難が、ゆらりと立ち上る熱気と共に、前を遮 […]
あっという間に夏の様相となったぎらぎらと照り返す山々の間を、どこか都会のバス会社のお下がりのような路線バスが走っていた。車内は空調も余り効かないようであった。 道元は額に流れる汗をハンカチで拭き取った。あまりり豊富で […]
プロジェクトチームリーダーであるにも関わらず、忙しさを口実に、日常業務をこなすことだけをよしとしてきたフロントマネージャーの財前は、いまや見違えるように成長していた。 売上向上、経費削減、サービス向上の各チームを統括 […]
「・・・来月から当ホテルのオーナー会社は、地元のIT企業として有名なネットエージェン シーさんに変更になります。これまでのファンド会社から地元の会社に移るわけです。 ネットエージェンシーの社長からは、経営方針や営業方針は […]
「道元社長。この利益率では弊社が希望するリターンを得ることが難しいんですよね。」 民間ファンドの板橋部長が部下の甲斐を伴ってホテルに来ていた。甲斐は、少し角の立 った銀縁のめがねを軽くあげながら、努めて冷静に話していた […]
メインバンクの企業支援部長である権堂が珍しくホテルにやってきた。このホテルのターンアラウンドマネージャーとして道元を招いた張本人である。 「道元社長。このホテルの資本だが、現在は民間ファンドが保有していることはご存じだ […]
カフェのアシスタントマネージャー志村はあのときを思い出していた。 サービス向上チームによるアンケートの収集が終わっていた。それは惨憺たる結果だった。お客様からの評価も「とても良い」という評価は0%であり、 […]
フロントマネージャーの財前は、前回のプロジェクトチームミーティングから少しずつ変わっているようであった。サービス向上チームの志村リーダーや売上向上チームの佐郷リーダー、経費削減チームの是町リーダーと積極的にコミュニケー […]
硬い表情をしたままのオーナー家御曹司の佐郷和典は、道元と向き合っていた。 「経営改善プロジェクトチームですが、財前マネージャーがリーダーではうまく事が運びません。この前、少し改心したかと思えば、次の日はいつもの通りです […]