第四十五話「オーナー家御曹司としての和典」
オーナー家御曹司の佐郷和典は、珍しく固い表情をしていた。当ホテルオーナー家の3代目である佐郷和典は、従来のおっとりとした、人の良さがにじみ出る感じがいかにも血筋の良い人間であることを示していた。 先代の社 […]
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オーナー家御曹司の佐郷和典は、珍しく固い表情をしていた。当ホテルオーナー家の3代目である佐郷和典は、従来のおっとりとした、人の良さがにじみ出る感じがいかにも血筋の良い人間であることを示していた。 先代の社 […]
弁護士がそのホテルに入り込んでは、様々な資料作成をしたり、それまでの経営状況を把握するためのインタビューが行われたり、債権者会議からの日々はあっという間であった。 何かの縁でそのホテルの社長になってから、最初の頃はその縁 […]
いつものように、小高い山の上にある賃貸のマンションから麓まで歩いていた。山の上から見る英虞湾は、天気の良い日には煌びやかな織物のように見えた。点在する島々がその陰影を形作り、その織物にアクセントを与えていた。麓まで続く道 […]
プロジェクトチームのミーティングが開催されたのは、志村が財前に催促してから既に1週間がたった後であった。道元とその他のメンバーが席に座っているなか、財前が遅れて会議室に入ってきた。軽くお辞儀をした程度で、何事もなかったよ […]
サービス向上チームはカフェのアシスタントマネージャーの志村、売上向上チームはオーナー家御曹司の佐郷、経費削減チームは宴会サービスの是町がそれぞれチームリーダーを担当した。そして、各チームにはチームリーダー以外に2名ずつ […]
道元の目の前には、10名のスタッフが集まっていた。その中には、フロントマネージャーの財前、カフェのアシスタントマネージャーの志村、営業スタッフでありオーナー家の御曹司である佐郷も含まれていた。その他のメンバーというと役 […]
フロントバックで、フロント及び予約ミーティングが行われていた。これは日々開催されているミーティングで、本日予約状況やVIP対応、特別対応そして昨日の反省などを話し合う場である。時間にして15分ほどのミーティングである。 […]
「道元社長が言っていた“全てはお客様のために”って当たり前だよな。」 フロントマネージャーの財前はタバコをふかしながら、同じくフロントスタッフの鈴木に言った。大体、どこのホテルでもそうであるが、ホテルスタッフにはタバコ […]
「皆さん、初めまして。櫻井道元と申します。これから皆さんと一緒に働くことになりました。どうか、よろしくお願いいたします。」 フロントバックオフィスに集まったスタッフを前にして、道元は挨拶をした。笑顔で道元を見つめるもの […]
道元は、あのホテルに立ち寄っていた。先日、地銀の権堂企業支援部長からの依頼をむげに断ったものの、何となく気になっていたからであった。 そのホテルは、地方都市の少し外れにあった。街中からは若干距離があるもの […]